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【図解】生活保護は親・子供と同居するとどうなる?受給への影響と「世帯分離」のすべてを徹底解説
更新日: 2025年09月04日
「生活が困窮し生活保護を申請したいが、親と同居している…」 「病気で働けず、子供の家に身を寄せたいが、受給資格はどうなる?」
生活保護制度を利用する上で、多くの方が直面するのが**「家族との同居」**という非常に複雑な問題です。同居する家族の収入や資産がご自身の受給にどう影響するのか、不安は尽きないことでしょう。
この記事では、その疑問に明確に答えるため、生活保護と家族の同居に関する基本ルールから、最重要キーワードである「世帯分離」のメリット・デメリット、そして必ず守るべき注意点まで、網羅的に徹底解説します。
すべての基本。「世帯単位の原則」をまず理解する
生活保護制度を理解する上で、絶対に欠かせないのが「世帯単位の原則」です。
これは、生活保護の必要性を判断する際、「同居し、生計を一つにしている家族全員を一つの世帯」とみなし、その世帯全体の収入と資産を合計した金額で判断するという大原則です。
つまり、同居している家族の中に一人でも稼働能力があり、世帯全体の収入が国が定める最低生活費を上回る場合は、原則として生活保護を受給することはできません。
「では、同居していると絶対に受給できないのか?」 いいえ、そこで重要になるのが「世帯分離」という考え方です。
【最重要】「世帯分離」とは?メリット・デメリットを比較
世帯分離とは、同じ住所に住みながら、住民票上の世帯を分ける手続きのことです。これにより、福祉事務所に**「同じ家に住んでいるが、家計は全く別々である」**と認められた場合に限り、分離した世帯だけで生活保護の要否が判断される可能性があります。
しかし、世帯分離は単純な手続きではなく、メリットとデメリットの両方を理解する必要があります。
メリット | デメリット | |
受給について | ✅ 生活保護を受給しやすくなる可能性<br>同居家族の収入・資産が合算されなくなるため、受給要件を満たしやすくなる。 | ❌ 必ずしも「生計が別」と認められるとは限らない<br>住民票を分けるだけでは不十分。家賃の按分、食費や光熱費の別々の支払いなど、生活実態が伴っている必要がある。 |
金銭面 | ✅ 受給額が最適化される可能性<br>ご自身の世帯の状況のみで保護費が計算される。 | ❌ 他の費用が増える可能性<br>国民健康保険料などを、これまで世帯主がまとめて支払っていた場合、新たに自身の世帯で支払う必要が出てくる。 |
プライバシー | ✅ 家族のプライバシー保護<br>調査の対象がご自身の世帯に限定されるため、同居家族の収入や資産を詳細に報告する必要がなくなる。 | ❌ 家族関係への影響<br>制度上、家計を明確に分けることになり、精神的な負担を感じる場合がある。 |
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【注意】世帯分離が可能かどうかは、個々の生活実態に基づき福祉事務所が判断します。自己判断で進めず、必ず申請前に担当のケースワーカーに相談してください。
【ケース別】生活保護と家族の同居、よくある3つのパターン
ケース①:親が受給者で、働く子供と同居する場合
最も多いケースです。子供に親を援助する能力(扶養能力)があると判断されれば、親の生活保護費が減額、または停止になる可能性があります。この場合、前述の「世帯分離」が可能かどうかが大きな焦点となります。
ケース②:夫婦の一方のみが受給したい場合
夫婦は法律上、相互扶養義務があるため、原則として世帯分離は認められません。DVや虐待など特別な事情がある場合は、福祉事務所に相談が必要です。
ケース③:事実婚のパートナーや友人などと同居する場合
法律上の扶養義務がない同居人であっても、「生計を共にしている」と判断されれば収入・資産は合算されます。家賃や生活費を厳密に分け、完全に独立した生活を送っている実態があれば、世帯分離が認められる可能性があります。
【最重要】同居の際に必ず守るべきルール
ご家族と同居しながら生活保護を受給する、あるいは受給を検討する際には、以下の点を絶対に守る必要があります。
- 収入・資産の正確な申告 ご自身だけでなく、「同じ世帯」と見なされる家族全員の給与、年金、仕送り、預貯金、生命保険、不動産などの収入・資産は、すべて正確に申告する義務があります。意図的に隠した場合、不正受給と見なされ、保護の打ち切りや全額返還、悪質な場合は刑事罰の対象となります。
- 状況変化の迅速な報告 「子供が就職した」「親が年金をもらい始めた」「同居を解消した」など、世帯の状況に少しでも変化があった場合は、速やかに福祉事務所のケースワーカーに報告してください。
- 家族間の十分なコミュニケーション 生活保護の利用は、ご家族の理解と協力が不可欠です。なぜ利用が必要なのか、家族の生活にどのような影響があるのかを包み隠さず話し合い、全員で納得した上で手続きを進めることが、後のトラブルを防ぐ最善策です。
まとめ:自己判断は厳禁!まずは福祉事務所への相談から
生活保護と家族の同居の問題は、法律と個々の生活実態が複雑に絡み合うため、インターネットの情報だけで判断するのは非常に危険です。
- 大原則は「世帯単位」。同居家族の収入・資産が審査に影響する。
- 例外として「世帯分離」があるが、認められるには厳格な条件がある。
- 収入・資産の正確な申告と、状況変化の報告は絶対的な義務。
最も大切なことは、一人で悩んだり、自己判断したりせず、まずはお住まいの自治体の福祉事務所(生活保護担当窓口)に正直に状況を話して相談することです。専門のケースワーカーが、あなたの状況で利用できる制度や、取るべき手続きについて、必ず力になってくれます。

編集者プロフィール

身元保証のけんさく編集部
月間数十件の身元保証・高齢者支援相談で培った実務知識を持つ専門編集者。
法律・介護・費用相場まで横断的に精通し、読者の「もしも」への備えをわかりやすく発信します。
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