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「受遺者」とは誰のこと?相続人との違いと財産を受け取る権利
更新日: 2025年09月10日
「受遺者」とは、遺言書に基づいて特定の財産を受け取る権利を持つ人のことです。相続人とは異なり、遺言者の意思によって直接的に遺産を受け取る立場にあります。この記事では、受遺者と相続人の違い、そして受遺者が財産を受け取る権利について、詳しく解説します。
1. 受遺者とは?
受遺者は、遺言者が遺言書で指定した「財産を受け取る人」のことです。遺言書が存在する場合にのみ成立する概念であり、相続人ではない第三者(友人や団体など)も受遺者になることができます。
- 受遺者の種類:
- 個人受遺者: 遺言書に名前が挙げられた特定の個人(親族、友人など)。
- 団体受遺者: 遺言者が支援したいと考える特定の団体や組織(慈善団体、学校など)。
- 条件付き受遺者: 遺言者が設定した特定の条件(例:大学を卒業する)を満たした場合にのみ、財産を受け取ることができる人。
2. 受遺者と相続人の違い
受遺者と相続人は、どちらも遺産を受け取る権利を持ちますが、その権利の発生根拠が異なります。
項目 | 受遺者 | 相続人 |
権利の根拠 | 遺言書 | 法律(民法) |
対象者 | 誰でも可能(個人・団体) | 法律で定められた親族 |
負債の継承 | 原則として負債は引き継がない | 負債も引き継ぐ義務がある |
相続人は、遺言書がない場合に法律に基づいて遺産を受け取る人です。一方、受遺者は遺言者の意思によって財産を受け取るため、遺言書の内容が優先されます。
3. 受遺者が財産を受け取る権利と制限
受遺者は、遺言書に記載された内容に沿って財産を受け取る権利を持ちますが、いくつかの制限も存在します。
権利
- 遺言者の意思: 遺言書の内容が明確であれば、受遺者はその内容に忠実に従い財産を受け取ることができます。
- 遺言執行者との連携: 財産を受け取る際には、遺言書の内容を実行する遺言執行者と協力し、手続きを進める必要があります。
制限
- 遺留分: 受遺者は、遺言書の内容に基づいて遺産を受け取りますが、相続人の「遺留分」を侵害することはできません。 遺留分とは、法定相続人に保障されている最低限の遺産の取り分のことです。
- 遺留分減殺請求: もし遺言書の内容が遺留分を侵害している場合、相続人から**「遺留分減殺請求」**を受け、遺産の一部を返還しなければならない可能性があります。
4. 受遺者が財産を受け取るまでの流れ
受遺者が遺産を受け取るためには、以下の手続きを適切に行う必要があります。
- 遺言書の確認: まずは遺言書の内容を正確に理解し、自分が受遺者として指定されていること、そして受け取る財産を確認します。
- 遺言執行者との連携: 遺言執行者がいる場合、その指示に従い、遺産の評価や名義変更の手続きを進めます。
- 法的手続きと税務申告: 不動産などの財産の名義変更手続きや、相続税(遺贈税)の申告・納付を行います。これらの手続きには専門的な知識が必要なため、司法書士や税理士に相談することをおすすめします。
まとめ
受遺者とは、遺言書によって遺産を受け取る人であり、その権利は遺言者の意思に強く基づいています。
一方、相続人は法律によって権利が保障されており、受遺者とは異なる立場です。
遺産を受け取る際には、遺言書の内容を正確に理解し、遺留分などの法的な制限にも注意しながら、適切に手続きを進めることが大切です。

編集者プロフィール

身元保証のけんさく編集部
月間数十件の身元保証・高齢者支援相談で培った実務知識を持つ専門編集者。
法律・介護・費用相場まで横断的に精通し、読者の「もしも」への備えをわかりやすく発信します。