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なぜ認知症は急に進行するの?症状を悪化させる「4つの原因」と家族ができる進行予防策

なぜ認知症は急に進行するの?症状を悪化させる「4つの原因」と家族ができる進行予防策

更新日: 2025年09月04日

「穏やかだった父の認知症が、入院をきっかけに急に進行してしまった…」 「最近、母の物忘れや混乱が、目に見えてひどくなった気がする…」

ご家族の認知症の症状が急速に進んだように感じると、大きな不安に襲われますよね。認知症は本来ゆっくりと進行する病気ですが、あることをきっかけに、まるで階段を駆け下りるように症状が悪化することがあります。

しかし、その原因を知り、正しく対処することで、進行のスピードを緩やかにできる可能性があります。

この記事では、認知症が急に進行する主な原因と、ご家族が今日から実践できる具体的な対策について、分かりやすく解説します。

まさかこれが…認知症が「急に進行した」と感じる4つの主な原因

認知症の症状を急激に悪化させる引き金は、日常生活の中に潜んでいます。主に以下の4つが考えられます。

🏥 原因①:環境の大きな変化(入院・引越しなど)

認知症の方は、環境の変化に適応するのが苦手です。入院や介護施設への入所、自宅の引っ越しなど、住む場所や生活リズムが大きく変わると、強いストレスや混乱から症状が悪化することがあります。これを**「せん妄」**と呼ぶこともあり、一時的な場合もあれば、そのまま認知機能が一段階低下してしまうこともあります。

❤️ 原因②:身体の不調(感染症・脱水・栄養失調など)

認知症の方は、ご自身の体調不良をうまく言葉で伝えられないことがあります。

  • 感染症: 特に高齢者に多い尿路感染症肺炎は、発熱だけでなく、急な認知機能の低下を引き起こす代表的な原因です。
  • 脱水・栄養失調: 食事や水分の摂取量が減ると、脳の働きが直接的に低下し、症状が悪化します。
  • 持病の悪化: 糖尿病や高血圧、心臓病などの持病が悪化することも、脳の機能に影響を与えます。

😟 原因③:心のストレス(不安・うつ)

精神的なストレスも、脳に大きな影響を与えます。

  • ストレス: 家族との口論、身近な人の不幸、役割を失ったことによる喪失感などが、症状の進行を早めることがあります。
  • うつ病: 認知症とうつ病は合併しやすく、気分の落ち込みや意欲の低下が、認知機能をさらに悪化させる悪循環に陥ることがあります。

💊 原因④:薬の影響(副作用・飲み合わせ)

新しく飲み始めた薬や、複数の薬の飲み合わせが原因で、認知症のような症状が出たり、元々の症状が悪化したりすることがあります。特に、睡眠薬や風邪薬、抗ヒスタミン薬などは影響が出やすいと言われています。

【対策編】認知症の進行を緩やかにするために家族ができること

認知症の進行を完全に止めることは難しいですが、そのスピードを緩やかにし、穏やかな時間を保つためにできることはたくさんあります。

① 生活習慣を整える(食事・運動・睡眠)

健康な体は、健康な脳の土台です。

  • バランスの良い食事: 野菜や魚を中心とした栄養価の高い食事を心がけ、十分な水分補給を促しましょう。
  • 適度な運動: 無理のない範囲での散歩やラジオ体操は、脳の血流を良くし、気分転換にもなります。
  • 十分な睡眠: 規則正しい生活リズムを保ち、ぐっすり眠れる環境を整えましょう。

② 脳に良い刺激を与える(認知トレーニング・趣味)

脳を使い続けることは、機能の維持につながります。

  • 認知トレーニング: 計算ドリルやパズル、間違い探しなども有効ですが、本人が嫌がる場合は無理強いしないことが大切です。
  • 趣味や役割を持つ: 編み物や園芸、料理の手伝いなど、本人が好きで楽しめることや、役割を持って取り組めることを見つけましょう。「ありがとう」という感謝の言葉が、何よりの脳の活性剤になります。

③ 人とのつながりを保つ(会話・社会参加)

社会的孤立は、認知症の進行を早める大きな要因です。

  • コミュニケーション: 積極的に話しかけ、本人の話にゆっくり耳を傾けましょう。昔の話を聞くのも良い刺激になります。
  • 社会参加: デイサービスや地域の集まりなど、外に出て人と交流する機会を作りましょう。

④ 医療と上手に連携する(定期受診・薬の管理)

信頼できる専門家と連携することは、ご家族の安心につながります。

  • 定期的な受診: かかりつけ医に定期的に受診し、体調の変化や薬について相談しましょう。
  • 薬の管理: 「お薬手帳」を一冊にまとめ、どの医療機関にかかる時も必ず持参し、医師や薬剤師に見せる習慣をつけましょう。

認知症の種類によっても進行速度は違う?

認知症にはいくつかのタイプがあり、それぞれ進行の仕方が異なります。

  • アルツハイマー型認知症: 最も多く、一般的にはゆっくりと進行します。
  • 血管性認知症: 脳梗塞や脳出血が原因で、脳卒中を起こすたびに段階的に悪化する「まだら認知症」が特徴です。
  • レビー小体型認知症: リアルな幻視や、日によって症状が大きく変動するのが特徴で、進行が比較的早い場合もあります。

まとめ:進行のサインに気づき、早期に対策を

認知症の進行は、病気自体のプロセスだけでなく、環境や体調、心の状態など、様々な要因が複雑に絡み合って起こります。

もし「最近、急に症状が進んだな」と感じたら、

  • まずは体調不良を疑う(熱はないか?食事はとれているか?など)。
  • 生活環境に大きな変化がなかったか振り返る。
  • 服用している薬を確認し、かかりつけ医や薬剤師に相談する。

そして何より、ご家族だけで抱え込まないでください。地域包括支援センターかかりつけ医は、こうした悩みに応え、適切なアドバイスをくれる心強い味方です。

進行のサインに早く気づき、その原因を丁寧に取り除くことが、ご本人とご家族の穏やかな時間を取り戻すための最も大切な一歩となります。

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編集者プロフィール
身元保証のけんさく編集部

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月間数十件の身元保証・高齢者支援相談で培った実務知識を持つ専門編集者。
法律・介護・費用相場まで横断的に精通し、読者の「もしも」への備えをわかりやすく発信します。

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