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年金は60歳から受け取るのが賢い?繰り上げ受給のメリット・デメリットと「損益分岐点」を徹底解説
更新日: 2025年09月04日
60歳を目前に控え、「年金、いつからもらうのが一番お得なんだろう?」と悩んでいませんか?
巷では「長く待つほどお得(繰り下げ受給)」という情報も多いですが、一方で「60歳から受け取る方が賢い」という考え方にも、確かな理由があります。
この記事では、年金を60歳から受け取る**「繰り上げ受給」に焦点を当て、その具体的なメリット・デメリットから、多くの人が気になる「何歳まで生きれば元が取れるのか(損益分岐点)」**まで、分かりやすく徹底解説します。
まずは基本!年金の「繰り上げ」と「繰り下げ」とは?
日本の公的年金は、原則として65歳から受け取りが始まります。しかし、本人の希望によって受け取り開始時期を早めたり、遅らせたりすることができます。
受給方法 | 受給開始年齢 | 1ヶ月あたりの増減率 | 60歳0ヶ月から受給した場合 | 75歳0ヶ月から受給した場合 |
繰り上げ受給 | 60歳0ヶ月〜64歳11ヶ月 | 0.4% 減額 | -24%(0.4% × 60ヶ月) | ー |
本来受給 | 65歳0ヶ月 | 基準額 | ー | ー |
繰り下げ受給 | 66歳0ヶ月〜75歳0ヶ月 | 0.7% 増額 | ー | +84%(0.7% × 120ヶ月) |
【重要ポイント】
- 減額・増額率は一生涯変わらない
- 一度選択すると、後から変更することは原則としてできません。
多くの人が気になる「損益分岐点」は何歳?
「繰り上げ受給は損」と言われる一番の理由は、生涯で受け取る年金の総額が、65歳から受け取る場合より少なくなる可能性があるからです。では、その総額が逆転する年齢(損益分岐点)は何歳なのでしょうか。
【繰り上げ受給の損益分岐点】 60歳0ヶ月から受給を開始した場合、65歳から受給を開始した人に年金総額で追い越されるのは、およそ80歳11ヶ月です。
つまり、約81歳より前に亡くなった場合は、60歳から受け取っていた方が生涯の受給総額は多くなる、ということになります。
それでも「60歳からの年金受給」が賢い選択と言える3つの理由
損益分岐点だけを見ると、長生きすればするほど繰り上げ受給は不利に見えます。しかし、人生はお金だけの問題ではありません。60歳から受け取る賢明な理由を見ていきましょう。
理由①:退職後の「収入の空白期間」をなくし、経済的に安定する
多くの企業が60歳で定年や役職定年を迎えます。再雇用で働き続けたとしても、収入が大幅にダウンするケースがほとんどです。60歳から年金を受け取ることで、この**「収入の空白期間」を埋め、生活の不安なく、穏やかな気持ちでセカンドライフをスタート**できます。
理由②:「健康寿命」を有効活用し、人生を謳歌できる
誰しもが健康でいられる期間は有限です。60代は、まだまだ旅行や趣味をアクティブに楽しめる貴重な時間。元気なうちにお金を受け取り、人生を豊かにするために使うという考え方は、非常に合理的で「賢い」選択と言えるでしょう。
理由③:将来の健康不安や制度変更リスクに備えられる
将来、病気やケガでいつ働けなくなるか、医療費がどれだけかかるかは誰にも予測できません。また、「将来、年金制度が改悪されるのでは…」という不安も根強くあります。**「もらえるうちにもらっておく」**という選択は、こうした不確実な未来に対する堅実なリスク管理の一つです。
【診断】60歳からの繰り上げ受給が向いているのはこんな人
- 60歳で退職し、当面の生活資金に不安がある方
- 十分な貯蓄がなく、60代前半の収入が大きく減ってしまう方
- ご自身の健康状態に不安があり、長生きすることに重きを置いていない方
- 早くにリタイアして、趣味や社会活動など、やりたいことが明確にある方
- 年金制度の将来に不安を感じている方
まとめ:あなたにとっての「賢い選択」とは?
年金をいつから受け取るかという問いに、すべての人に当てはまる唯一の正解はありません。
- 長生きリスクに備え、将来の受給額を増やしたいなら**「繰り下げ受給」**
- 目先の生活の安定や健康な時間を楽しむことを優先するなら**「繰り上げ受給」**
どちらが「賢い」かは、あなたのライフプラン、健康状態、そして何よりも**「どんなセカンドライフを送りたいか」という価値観**によって決まります。
損益分岐点の計算も大切ですが、それだけにとらわれず、ご自身の人生設計と照らし合わせて考えることが、後悔しない選択につながります。 一度、お近くの年金事務所でご自身の具体的な年金額を試算してもらい、ご家族ともじっくり話し合ってみてはいかがでしょうか。

編集者プロフィール

身元保証のけんさく編集部
月間数十件の身元保証・高齢者支援相談で培った実務知識を持つ専門編集者。
法律・介護・費用相場まで横断的に精通し、読者の「もしも」への備えをわかりやすく発信します。
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