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相続放棄の手続きを徹底解説:必要書類から申立てまでの流れ
更新日: 2025年09月10日
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の遺産を一切受け継がないという意思表示です。これにより、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産(相続債務)も負担する必要がなくなります。
相続放棄は、負債のリスクを避けるための重要な手段ですが、一度行うと原則として撤回できません。この記事では、相続放棄が有効なケースから、手続きの流れ、注意点までを徹底解説します。
相続放棄を選ぶケース
相続放棄は、主に以下のような状況で選択されます。
- 多額の負債: 被相続人の遺産に、多額の借金が含まれている場合。
- 家庭の事情: 家族間の人間関係が複雑で、遺産を受け取りたくない場合。
- 財産管理の手間: 遺産管理に時間や労力を費やしたくない場合。
相続放棄の手続きの流れ
相続放棄の手続きは、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。
1. 必要書類の準備
以下の書類を揃える必要があります。
- 相続放棄申述書: 相続放棄の意思を明確にするための申請書です。
- 戸籍謄本: 被相続人との関係を証明するために必要です。
- 住民票の写し: 申述人(相続放棄をする人)の居住地を確認するために必要です。
2. 家庭裁判所への申立て
書類が揃ったら、家庭裁判所に申立てを行います。
- 申立ての期限: 「相続開始を知った日から3か月以内」に申立てを行う必要があります。この期間を過ぎると、相続を承認したとみなされるため、注意が必要です。
- 申立ての方法: 家庭裁判所へ直接提出するか、郵送で行うことができます。
- 費用: 申立てには、収入印紙代や郵便切手代などの手数料がかかります。
3. 裁判所の審査と通知
家庭裁判所は、提出された書類を基に審査を行います。
- 審査: 書類に不備がないか、法的に問題がないかを確認します。必要に応じて追加書類の提出を求められることもあります。
- 通知の受領: 審査が完了し、相続放棄が認められると、正式な通知が届き、手続きが完了します。
相続放棄の注意点
相続放棄は一度行うと撤回できないため、慎重な判断が必要です。
- 他の相続人への影響: あなたが相続放棄をすると、相続権は次の順位の相続人(例:子供が放棄すれば、孫や兄弟姉妹)に移ります。 負債がある場合、他の家族がその負債を引き継ぐことになるため、事前に家族間で十分に話し合うことが重要です。
- 遺産に「手をつける」と放棄できない: 被相続人の預金を引き出したり、遺品を売却したりするなど、遺産を処分するような行為を行うと、相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。
- 限定承認との比較: 「限定承認」という、遺産の範囲内で債務を承認する手続きもあります。負債の額が不明な場合などに有効ですが、相続人全員の同意が必要となります。
まとめ
相続放棄は、特に借金などのマイナスの財産が多い場合に有効な選択肢です。
しかし、「相続開始を知った日から3か月以内」という厳格な期限や、一度行うと撤回できない点には注意が必要です。
手続きを円滑に進め、後悔しないためにも、まずは家族と話し合い、必要に応じて弁護士や司法書士といった専門家に相談することをおすすめします。

編集者プロフィール

身元保証のけんさく編集部
月間数十件の身元保証・高齢者支援相談で培った実務知識を持つ専門編集者。
法律・介護・費用相場まで横断的に精通し、読者の「もしも」への備えをわかりやすく発信します。